アセスメントセンターの基礎知識とプログラム導入を検討する際の観点

2022.10.11

アセスメントセンターとは

アセスメントセンターとは、行動に着目して能力評価を行う人材アセスメント手法の一つです。アセスメントセンター方式やアセスメントセンターメソッドとも呼ばれます。

組織の管理職など、実際の職務や期待役割を想定したシミュレーションを元に演習を行い、被評価者の行動や言動をアセッサーと呼ばれる評価者が、定められた評価項目(ディメンション)に沿ってスコアリングします。その上で、管理職としてふさわしいのか、必要な能力要件を満たしているか、などの判断を行います。

アセスメントセンターは、採用、昇進・昇格判断、配置、育成など人材マネジメントにおけるあらゆるシーンで利用されます。

<アセスメントセンターの特徴>

■ディメンション
期待される人材像に備わっている能力要件を評価指標として設定
■シミュレーション
実際の職務場面を想定した複数のシミュレーションを組み合わせたプログラム
■アセッサー
評価の専門家がシミュレーション上で観察された行動事実をもとに評価

アセスメントセンターの基本構造

アセスメントプログラムは、「評価精度の高さ」を担保するために、いくつかの条件を満たす必要があります。

一つ目は、明確で適切な評価基準です。評価の基準とは、評価項目のことで、アセスメントプログラムではディメンションやコンピテンシーとも呼ばれます。評価者であるアセッサー個人の恣意的な判断ではなく、予め定められた指標が判断の軸になります。

二つ目が、演習による状況設定です。必ず複数の状況設定を行ったうえで、評価の根拠となる行動事実を引き出し、収集することが必要です。

三つ目が、一定のルールと手続きに基づいた評定プロセスです。訓練を受けたアセッサーが、評定のための十分な時間を費やして評価を行ったうえで、複眼による検証を経て評価を確定することが必須条件です。

以上、3つの条件を満たすことで初めて、精度が高い評価を行う環境が整います。

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適切な評価項目とは

能力とは、「ある特定の物事を成し遂げることのできる力」を指します。ただし、一言で能力と言っても、複数の要素の組み合わせによって構成されていることを押さえる必要があります。例えば、「日本語で文章を作成する」場合、①特定の文章を作成するための専門性が求められます。また、②語学力(日本語に関する知識)や③技能(特定の文章における型やパターンなどの専門知識や技能)も必要でしょう。さらには、④思考力(文章の構成を整える)、⑤姿勢(粘り強く文章作成に向き合う)、⑥対人(読み手への配慮)などの能力も問われます。このように、「日本語で文章を作成する」という一つの行為でさえも、複数の要素の組み合わせによって成し遂げられていることがわかります。

ここで挙げた要素全てが能力です。そのうち、➀~③は専門的能力、④~⑥は汎用的能力と大別できます。能力評価に当たっては、まずは、必要となる能力を要素分解することが必要です。また、リーダーシップの発揮に関わる能力を測定する際は、汎用的能力に焦点を当てることが重要です。曖昧で様々な要素が混在する評価項目のままでは適切な評価はできません。「文章力」という評価項目では、リーダーとしての適性を測ることはできないことは多くの方が理解できると思いますが、各社が実際に管理職の昇進昇格時の基準で運用されている指標は、求める人材と乖離している場合も多いのが実際です。改めて、自社が設定している評価項目を確認してみてください。

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シミュレーションの種類と特徴

リーダーの適性を評価するためには、リーダーが備えていてほしい能力が、リーダーの真価が問われる状況において発揮できるかどうかを見極めることが重要となります。

そして多くの場合、リーダーの真価が問われるのは様々な困難な局面であり、リーダーが直面しうるハードな状況を演習のなかで演出します。例えば、状況が不透明な場面、プレッシャーがかかる場面、対立が生じる場面、感情的な反発を受ける場面など、被評価者は様々な困難が生じる場面を体験し、その中でリーダーとしての振る舞いが問われるという設計になっています。そのようなハードな場面を複数設定することによって、被評価者に備わっている行動特性を明らかにしていきます。

主な演習は、➀インバスケット意思決定演習 ②方針立案演習 ③グループ討議演習 ④面談演習の4種類です。少なくともこれら4つの演習を行うことで、リーダーとしての能力特性を正確に評価することができます。

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評価の基本プロセス

アセスメントプログラムにおける評価の基本プロセスは、大きく分けると観察、記録、分類、評価という4つに分かれます。

複数の演習において表出された被評価者の行動事実を観察、記録したうえで、行動記録全体を通じた傾向も踏まえて、行動事実に解釈を加えます。同じ行動事実も解釈の仕方によって評価結果は大きく変わります。行動事実の解釈をもとに、それぞれの行動事実がどのような能力によってもたらされたのかを分類していきます。そして、定められた評価基準に沿って、保有能力を点数化します。尚、一連の評価プロセスは複数のアセッサーが行うことで(複眼による客観性の担保)、より精度の高い評価を行うための仕組みで運用します。

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評価結果の見方・活かし方

一般的にアセスメントプログラムにおいては、複数の能力項目(10~20程度)を定め、能力評価の結果を5点法もしくは7点法で数値化します。

当然、全ての能力の数値が高いことが望ましいですが、昇進昇格判断においては、3つの視点で多面的に評価結果を捉えることで、評価結果をより有効活用することができます。

3つの視点とは、1つ目は、「総合点の高さ」です。総合点の高低によって、「昇進昇格にふさわしい水準に達しているかどうか」を「判断する」ことに活用します。

2つ目が、「得点バランス」です。総合点が同点の場合は、よりバランスよく得点できているほうが、相対的に適性は高いと言えます。特に、著しく評価が低い能力項目がある場合、何かにつけてその能力項目がパフォーマンス発揮の足枷となり、結果的に組織を望ましくない方向へ導いてしまうリスクが高まります。得点バランスによって、「よりふさわしい人材は誰なのか?」を見極めることに活用します。

3つ目が、「能力上の特徴」です。特に、最も高い評価と低い評価に当たる能力項目に着目します。個々の人材にとって、評価が高い項目は「強み」、評価が低い項目は「改善点」になり得ます。この組み合わせは千差万別で、その組み合わせが個々の人材が持つ特徴です。「特徴」を捉え、「どうすればより能力を開発あるいは発揮できるようになるか?」を本人にフィードバックすることで、「能力の開発と発揮を促す」ことに活用します。

以上、3つの視点で評価結果を捉え、活用することで、ヒューマンアセスメントにおける評価結果の価値を最大化することができます。

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この記事の著者

株式会社リードクリエイト
コンサルタント 國廣 幸彦

2008年1月よりリードクリエイトに参画。主にコンサルティング営業を担当。年間100社以上の人材開発、組織開発に携わる。2020年からコンサルタントとして、アセスメントプログラム、研修、コンサルティングを通じて、年間1000名以上の能力開発やキャリア支援に携わる。