若手社員を管理職に登用しよう~管理職候補不足を解決する5つの方法

2024.03.01

若手社員を管理職に登用しよう~管理職候補不足を解決する5つの方法

若手社員が育たない、若手社員が定着しないというのは、多くの経営者や人事担当者が抱え続けている人事課題です。この問題の核心は、リーダーシップ教育のタイミングが遅すぎることに端を発していると考えます。つまり、「リーダーシップ教育の早期化」が若手社員にまつわる諸問題を根本解決するための鍵となるのではないかという問題提起でもあります。

本コラムでは、若手社員を取り巻く環境とその背景について取り上げ、これからの時代におけるリーダーシップ教育のあり方について考えてみたいと思います。

若手社員を取り巻く背景1|昇進昇格のタイミングが遅すぎる

国際的に見ても、日本企業の昇進年齢は高いと言われています。いくつかの統計データを確認しても、日本企業の課長への昇進タイミングが30代後半、部長が40代中盤なのに対し、多くの国は、課長が20代後半、部長が30代前半となっており、相対的にみて管理職への昇進昇格のタイミングが遅すぎると言えるのではないでしょうか。

昇進昇格が遅くなる要因の一つに、プレイヤーとして長年に渡って成果を上げてきた者が管理職になるべきという思想が未だに根強く残っていることが挙げられます。それは、年功序列型人事制度が現行制度の基盤になっているということが背景にあります。近年は人事制度を見直す、あるいは見直しを検討している企業が増えていますが、年功序列型の人事制度を抜本的に刷新し、新たな思想のもとで人事制度を設計するまでには至っていないのが実態のようです。

年功序列型の人事制度における昇格は、長年に渡る功績に報いるために管理職と言うポストを報酬として与えるという側面があります。そのため、プレイヤーとして功績を上げていない者にポストは与えないという発想になりがちです。

くわえて、相応の経験を積まないことにはリーダーシップ能力は磨かれないだろうという前提のもとに昇格要件が設計されているがゆえに、昇格要件には管理職昇格までに要する経験年数を条件に定めていることも多いのが実態です。このように、制度設計上において、その根底にある思想の影響から、管理職昇格のタイミングが遅くなりやすい現状があります。

若手社員を取り巻く背景2|管理職在任年数が長すぎる

日本企業では、管理職の在任年数も長すぎます。管理職の平均年齢は40代中盤以降となっており、平均勤続年数も約20年と長いことがわかります(図表1)。前述の昇進年齢と合わせると、40歳手前で管理職になり、45歳くらいで部長に昇格し始めるが、昇格しない人はずっと係長、課長に滞留しているという管理職人材の新陳代謝が進んでいない実態も垣間見えます。

図表1-日本企業の職位別平均年齢と平均勤続年数

ここに、年功序列型人事制度が持つ「一方通行の昇進昇格」という特性による影響が窺えます。よく外資系企業の雇用は「Up or Out(上がるか去るか)」、対して多くの日本企業の昇進昇格制度は「Up or Stay(上がるか留まるか)」という特徴があると言われています。一度昇格した人材を安易に降格させてはならないという不文律が存在するがゆえに、降格人事はよほどのことがない限りあり得ません。だからこそ、余計に昇格判断は慎重にならざるをえず、これが昇格のタイミングをさらに遅らせる一因となっています。

最近では、降格人事を導入する、検討する企業も増えてはいるものの、「再昇格人事」も含めた降格人事にまではなっていないことが多いようです。「Up or Down(上がるか下がるか)」で昇格も降格もやはり一方通行になってしまいます。これでは降格判断は慎重にならざるを得ず、やはり新陳代謝はあがりません。新陳代謝を促すという観点からは、管理職の任を降りた人材が再び要件を満たせば再登用できる「Up & Down(上がったり下がったり)」の制度が望ましいと考えます。

もっと踏み込んだことを言えば、そもそも昇格という概念そのものを見直す必要があるでしょう。管理職になる=昇格(上がる)という考え方が諸悪の根源かもしれません。管理職という職務も含めて、全ての職務が並列である、という思想のもとで制度設計を抜本的に見直すことも必要になるでしょう。

以上のように、人事制度の影響によって、日本企業では昇進昇格のタイミングが遅いうえに、在任年数も長すぎます。これでは若手社員の昇進昇格への期待値が高まりません。それが、若手社員が育たない、定着しない背景にあります。

若手社員を取り巻く背景3|能力開発への投資が少なすぎる

前述の通り、昇進昇格のタイミングが遅いため、どうしてもリーダーシップをはじめとする能力の向上につながる経験機会が不足します。くわえて、日本企業は教育機会も充実しているとは言えません。それゆえに、若手社員は、昇進昇格に対してのみならず、能力開発に対する期待値も高まりません。

実は、国際的に見て日本企業は能力開発への投資が少なすぎます(図表2)。日本企業の能力開発投資額が著しく低いことがわかります。米国企業は日本企業の約20倍と突出していますが、その他の国も日本企業の10倍を超えており、能力開発への投資額は日本企業だけが突出して低いという実態があります。
※能力開発に対する投資額とは、ここでは主に研修(Off-JT)にかかる費用と捉えてください

図表2-GDP(国内総生産)に占める企業の能力開発費の割合

では、Off‐JTの実施は少なくても、OJTは充実しているのではないか?という仮説のもと、次は、男女別に OJT の実施率(2012年)を確認してみましょう(図表3・図表4)。OJT実施率のOECD 平均は、男性が 55.1%、女性が 57.0%、対して日本企業の OJT の実施率は、男性が 50.7%、女性が 45.5%です。OECD 平均と比較すると、日本企業のOJT実施率は、男性が4.4%ポイント、女性が11.5%ポイント低いのです。つまり、日本企業は特段OJTに熱心なわけではなく、むしろ女性についてはOECD平均と比較しても著しく低い水準にあることがわかります。

図表3-OECD諸国のOJT実施率<男性>図表4-OECD諸国のOJT実施率<女性>「それならSD(自己啓発)はどうだろうか?日本人は勉強熱心だからきっと自己研鑽に熱心に励んでいるのでは?」という仮説のもと、次は、自己啓発活動の実態について確認してみましょう。結論から言うと、日本人は勉強熱心とは言えません(図表5)。むしろ、国際的に見ても自己啓発に取り組む意欲は著しく低いと言わざるを得ません。リスキリングの重要性が叫ばれている昨今において、そもそも自主的に学習する習慣が身についていない社会人が多いのは由々しき事態だと言えるでしょう。

図表5-社外学習・自己啓発を行っていない人の割合このように日本企業および日本のビジネスパーソンは能力開発への投資があまりにも少ないことがわかりますが、この背景にも人事制度の影響が少なからずあるのだと考えます。昇進昇格のタイミングが遅いため、リーダーシップ教育に対する切迫感が高まらず、結果として能力開発への投資も疎かになってしまっているのではないでしょうか。

また、キャリア形成が会社任せになりやすいという問題もあります。昇進昇格がいつになるのか、いつどのような職務を担うのかについて見通しが立ちづらく、労働者側も自己啓発に対する問題意識が高まりにくいという実態もあるのだと推察します。

そして、リーダーシップを発揮する経験が不足するため、自身の啓発課題が認識できません。何事も実際に経験し、様々な壁に直面するからこそ、啓発課題が明確になるものですが、経験機会が乏しいと、いったい自分は何ができて何ができないのかが認識できません。そうすると、自己啓発の方向性やテーマが定まらず、自身の成長に関心が向かわないという結果に繋がってしまいます。

以上のように、昇進昇格のタイミングが遅いことにより、経験機会もない、教育機会もない、自己研鑽で学習する意欲もない、という負のスパイラルが多くの日本企業の現場で生じているのではないでしょうか。どこからどう見ても、リーダーが育つ条件が何一つ見当たりません。また、若手社員にとっては、いかに成長への期待感が持てない環境にあるのかがわかります。

若手社員の実態1|劣化するリーダーシップ能力

これまでいくつかの統計データで見てきたように、現状の日本企業においては、残念ながらリーダーシップ能力が向上する環境が整っているとは言えません。そして、リーダーシップ能力という観点では、管理職候補者群よりも、若手人材群のほうがリーダー適性が高いという検証データもあり、年数を経るにつれて、リーダーシップ能力は劣化しているのではないかという事実を問題提起したいのです。

「(図表6)アセスメント結果から見る能力の実態」は、リードクリエイトが実施しているリーダーシップ能力を測定するアセスメントプログラムにおける階層ごとの平均スコアを示しています。大まかに年齢別に区分するならば、若手~中堅とは、20代~30代前半、管理職手前とは、30代後半~40代と捉えてください。

図表6-アセスメント結果から見る能力の実態

まず、合計点では、若手~中堅が47.64に対して、管理職手前では46.84へと0.80低下しています。また、アセスメントにおいては、7点中4点を標準点と解釈しますが、若手~中堅では、12項目中7項目が標準点を上回っているのに対して、管理職手前では12項目中4項目まで減少しています。

項目別にみると、標準点を上回る項目は、若手~中堅の場合は、点数が高い順に、不屈性、状況把握、主体性、多様性、自律性、対話力、目的意識の7項目、管理職手前では、点数が高い順に、不屈性、状況把握、自律性、多様性の4項目です。

差分に着目した場合、スコアが上昇しているのは2項目(自律性、多様性)のみで、12項目中、10項目でスコアが低下しています。特に低下幅が大きいのが、主体性、挑戦性、対話力、状況把握、訴求力の5項目です。

新規大卒就労者数の絶対数が減少し続ける中、新規学卒就職者に対する期待は高まる一方です。しかし残念ながら、年月とともにリーダーシップ能力が劣化している現状が窺えます(図表6)。本来、将来的な管理職としての活躍が期待されている人材にも関わらず、必要な能力が開発されていないどころか、むしろ年月を経て劣化しているという衝撃の事実があるのです。あくまで平均スコアから見える一側面ではありますが、見過ごすにはあまりに大きな事実だと考えます。

なぜこのようなことが起きるかを考察すると、組織への適応と実務面の習熟ばかりを要求される環境にあるからという実態が見えてきます。余計なことはせずに、粛々と定型業務を捌くことばかりを要求されるがゆえに、知らず知らずのうちに余計なことは考えない、言わない、しない人材を生み出しているということです。若手社員にとっては、成長機会もない、成長への期待感もない、成長実感もない環境と言えるのではないでしょうか。

もちろん、若手社員のみならず、全ての社会人が自律的にキャリアを考え、自発的に研鑽に努める必要があります。「成長機会や教育機会は会社が用意するもの」という考えは過去の話しです。本来、労働者はお金を頂く側であり、サービスを提供する側です。一般的に、サービスを提供する側は、対価を頂くために自発的にサービス向上に努めるのは当然のアクションとも言え、そのために自己研鑽する行為も当然であるというスタンスに立つ必要があるのだと考えます。

一方、対価を支払う側、サービスを受ける側である組織においてもキャリア自律を個人に要求するからには、個々人の適性や志向性に応じたキャリアを実現できる環境を整備していくことが求められます。キャリア自律を求めておきながら、組織都合の人事異動が常態化しているようでは、自律した人材は定着しません。

以上のように、たしかに若手社員は育っていません。育っていないどころか、むしろ時間を重ねるごとに劣化しているのが実態です。ただし、育っていないというよりは、組織側が育てていない・育てる気がないという側面があることにも向き合う必要があるのではないでしょうか。

若手社員の実態2|優秀な人材ほど早期に離職する

そして、成長が見込めない環境にあることが、「若手社員が定着しない」というもう一つの問題を引き起こしています。厄介なことに、成長や昇進に貪欲な将来有望な人材ほど早期に離職しています。

「最近の若手は昇進意欲はないのでは?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、若手社員は必ずしも昇進意欲が低いわけではありません(図表7)。20代の転職理由の第2位に「昇進・キャリアップが望めない」がランクインしています。このことからも、若手社員は貪欲に成長機会を求めており、実は昇進意欲も高いということが窺えます。

図表7-20代の転職理由

若手社員は昇進や成長に対する意欲が低いのではなく、(今の会社では)管理職になりたくないと解釈するべきだと思います。あるいは、前述の通り、昇進のタイミングが遅すぎるために、管理職になれるのはどうせもっと先のことだからよくわからないというのが本音ではないかと思います。

研修の取り組み姿勢ひとつにも、リーダー適性が垣間見えることがありますが、実際、若手社員向けの研修の現場からも、優秀そうだと見込んだ人材ほど早期に離職しているという現実を目の当たりにすることがあります。個人的な感覚からも、実は昨今の若手は昇進や成長に貪欲で、だからこそ優秀な人材ほど早々に見切りをつけて転職しているのではないかと思います。

以上のように、若手が定着しない理由として見落としてはいけないのは、成長やキャリアアップが見込めないことです。昨今、多くの日本企業は、ひと昔前と比較すると、すでにホワイトな職場環境になってきています。最近の若手社員は、労働条件が「きつい・つらい」から辞めると思われがちですが、むしろ職場が「ゆるい・ぬるい」から辞めるのです。就業先を決める条件として、成長が見込めるかどうか?の優先順位が高いのです。だから、成長意欲が高く、リーダー適性が高いと見込まれる優秀な人材ほど早期に離職していきます。

最近、若手の早期離職の問題について相談されることが多いですが、主に離職率に焦点を当てて若手が定着しないと問題視していることが多いように思います。しかし、本来問題視すべきは離職率ではありません。気にするべきは「何人辞めたか?」よりも「誰が辞めたか?」です。絶対にあってはならないのは、優秀な人材の早期離職です。早期離職問題については、離職率を下げることよりも、優秀な人材だけにターゲットを絞って離職を防止することが重要です。

そもそも、新卒一括採用の特性上、一定数の離職は防ぎようがありません(図表8)。1996年~2021年までの新規大卒就労者の入社3年以内離職率を示しています。新規大卒就労者数の絶対数が減少し続けている中で、過去30年近く3年以内離職率はずっとほぼ3割代で推移しています。3年以内に3割が離職する時代とよく言われますが、何も今に始まったことではありません。

図表8-新規学卒者3年以内離職率労働力の量的側面が重視される状況下では、新卒一括採用ほど都合の良い採用方法はありません。一方、質的側面を担保しづらいのが新卒一括採用の最たる難点です。社会人経験のない未知数の人材の長期的な可能性を予測するという、非常に見極めが困難な採用方法です。新卒一括採用は一定の離職者が伴うものだと腹を括るしかありません。

そして、早期離職の問題に対しては、離職率の上昇ばかりに気を取られて、誰一人辞めさせないようにつなぎとめることに労力を割くよりも、辞めてはならない優秀な人材だけをつなぎとめることに焦点を当てることが重要なのではないでしょうか。

日本企業の大問題-管理職登用時、能力・意欲や覚悟を備えた人材の絶対数が少ない

ここまで述べてきたことを踏まえ、改めて多くの日本企業で起きている問題の発生メカニズムを整理していきます。

管理職に昇格するタイミングが遅い

年功序列型人事制度の影響で、管理職の昇進昇格判断が慎重になるため、昇格するタイミングが遅れる傾向があります。

管理職在任年数が長く、ポストに空きが出ない

管理職の昇進昇格が一方通行で、たとえ降格制度が存在する場合でも、降格判断が慎重になるため、管理職在任年数は長くなる傾向があります。ポストに空きが出ないため、人材の新陳代謝が図れません。

管理職教育を開始するタイミングが遅れる

昇格のタイミングが遅いため、リーダーシップを磨く経験が不足します。くわえて、どうしても管理職教育の優先順位が下がり、教育機会も乏しくなります。キャリア形成が会社任せとなり、自律的に社外学習・自己啓発に取り組む意欲も高まりません。

年数を経るごとにリーダーシップ能力が衰えていく

組織の既存ルールへの過剰適応や実務面への習熟ばかりが要求される環境下で、十分なリーダーシップ経験を積めません。加えて教育機会も自己啓発意欲も乏しいため、リーダーシップ能力は伸びないどころかむしろ劣化しています。

昇進昇格のチャンスがないため、成長意欲が高い人材ほど早期に離職する

キャリアップや昇進機会がない、あるいは期待が持てないため、成長意欲が高い、昇進意欲が高い人材ほど、成長機会を求めて早々に離職しています。

そして、これらの事象が絡み合うことで、いざ管理職登用のタイミングになったときには、能力や意欲が十分備わっている人材が少ないという問題を引き起こしています。リーダー適性のある人材が育たないというお悩みをよく聞きますが、それは上記のようなプロセスを経て生じた当然の結果と言えるのではないでしょうか。

提言-若手社員を管理職に登用しよう

上記の問題を抜本的に解決するためには、若手社員を管理職に抜擢することが必要です。ここまで述べてきたことを踏まえ、これからのリーダーシップ教育について、5つの解決策を提言します。

提言1)リーダーシップ能力を重視して採用する

慢性的な現場における人手不足により、現場の要望という圧力から、より現場が好む人材を採用する方向へ傾きやすい状況にあります(図表9)。「リーダーシップ」を重視する企業は17.2%と、2割にも達していません。多くの企業が、現場からの要望に引きずられて、プレイヤー適性を重視した採用選考を行っていると考えられます。今後、採用難が加速することが予想されるなか、よりリーダー適性を重視した採用を行うことが必要になると考えます。

図表9-新卒採用にあたって特に重視する上位10項目

提言2)新入社員の導入教育からリーダーシップ教育を始める

新入社員教育も「実務の即戦力を育てる」という現場の要望に応じて、ビジネスマナーなどの職場適応を重視した教育に傾きやすい状況にあります。しかし、本来、導入教育で学ぶべきは、ビジネスマナーではなくビジネスリテラシーです。実務の専門家である前に、漏れなく全員がビジネスパーソンです。最初に学習するべき項目は、ビジネスの仕組みや求められるリーダーシップの理解だと考えます。

提言3)若手社員が管理職を担うことが可能な人事制度を構築する

一定の実務経験や専門性も備えないことには管理職が務まらないのが実情でしょう。しかし、前述の通り、能力という観点では決して若手社員に管理職適性がないとは言えません。たとえ実務経験が少なくとも、能力面で適性があれば管理職に抜擢することが可能な人事制度を構築することと、実際に若手社員を抜擢する実績を増やすことが必要だと考えます。

提言4)上下関係を重んじる組織風土を刷新する

若手を管理職に抜擢するに当たって、最も厄介な阻害要因が組織風土です。上下関係を過度に重んじる組織風土のままでは、年功序列という秩序を乱すことへの反発が生じる恐れがあります。年齢や肩書に関わらず、全員を公平に尊重する組織風土を醸成することも必要不可欠です。そして、風土形成においても、若手社員が管理職を担う事例を増やしていくことが必要です。

提言5)リーダー適性を把握する

上記すべての解決策は、まずは若手社員のリーダー適性を把握することから始まります。すでにお気づきかと思いますが、管理職登用のタイミングで適性を把握しているようでは手遅れです。若手社員のうちから、早期にリーダー適性を把握しておくことが必要不可欠です。もっと言うと、本来は採用段階からリーダー適性を測ることが必要です。また、若手社員本人の自己啓発を促す上でも、リーダー適性の現状をタイムリーにフィードバックすることが効果的です。

まとめ

今回は、若手社員を取り巻く諸問題に焦点を当てて、リーダーシップ教育のあり方について問題提起してまいりました。
今回取り上げた問題は、様々な事情が複雑に絡み合う難問ばかりです。決して特定の誰かに非があるわけではありませんし、批難するつもりも責任を追及するつもりもありません。

私たちは、日々たくさんのビジネスパーソンと関わっていますが、本当に優秀な方ばかりだと思います。同時に、持ちうる能力の使い方や磨き方については、どこかでベクトルが大きくずれてしまったのではないかと感じます。潜在的に優秀だと思うからこそ、「こんなはずないのに」といつもとても残念に思います。

管理職候補者向けのアセスメント研修の現場では、「もっと早くこのような研修に参加したかった」ととても残念そうに漏らす参加者にもよく遭遇します。そのたびに形容しがたい心苦しさに苛まれます。

人間はだれしも無限の可能性を持っているはずです。年齢・性別・経験年数に関係なく、公平に全員の可能性に目を向けることこそが、今回の記事で取り上げた難問を解決に導くうえで大切なことだと考えます。

この記事が、少しでもリーダーシップ教育のあり方を変革するきっかけになれましたら幸いです。
リードクリエイトでは、企業や組織の人事部門の方に向けて、リーダーの選抜と育成に関わるソリューションを提供しています。

今回の記事の内容を踏まえ、日頃抱えているリーダーシップ教育にまつわる問題について相談されたい方、具体的な施策を検討されたい方は、お問い合わせください。

 

この記事の著者

株式会社リードクリエイト
チーフコンサルタント
國廣 幸彦

2008年1月よりリードクリエイトに参画。主にコンサルティング営業を担当。年間100社以上の人材開発、組織開発に携わる。2020年からコンサルタントとして、アセスメントプログラム、研修、コンサルティングを通じて、年間1000名以上の能力開発やキャリア支援に携わる。

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