アセスメントセンターとはどのような手法のツールなのか?

2023.07.21

アセスメントセンターとはどのような手法のツールなのか?

昇進昇格やサクセッションプランなど、重要な人選における手段として、アセスメントセンターの導入を検討いただく相談が増えています。

数あるアセスメント手法やツールの中で、どのような違いがあるのかという疑問の解消を含めて、私たちが提供しているアセスメントセンターによるプログラムの概略と特長を紹介したいと思います。

アセスメントセンターの特長

アセスメントとは「客観的に評価・査定する」という意味を持ち、経営・人事の分野においては「特定人物のスキルや能力、適性を評価する」ことで、採用や昇進昇格、サクセッションプランにおける人選や育成、処遇を決める際の参考データとして活用されています。その中でもアセスメントセンターと呼ばれる手法は、「ある状況下において実際に発揮が観察された行動(言動と呼ぶ)から能力の保有具合を測定する」という行動科学を基礎とする評価プログラムです。

数あるアセスメント手法やツールの中において、「第三者が観察可能な実際のその場の言動を評価対象とする」という点に特長があります。これは、以下の4つの「違い」において、それぞれの後者を測定する上では最適な手法であると言えます。

“知っている”と“できる”の違い

“イメージの自分(主観)”と“実際の自分(客観)”の違い

“これまでの環境下での自分(過去)”と“これからの環境下での自分(将来)”の違い

“自身の中の相対値としての特性”と“第三者との比較の中の絶対値としての特性”の違い

当然、それぞれの前者を測定することを得意とするアセスメント手法やツールもあるので、活用用途に合わせて適切に選択することが重要です。例えば、経営知識や業務に必要な専門知識など、「知っている」という知識の保有度合いを測るのであれば、筆記テスト形式のものが最良の選択であると考えられます。他の要素も同様に、最適な手法を選択することが何よりも重要です。

アセスメントセンターが持つ「第三者が観察可能な実際のその場の言動を評価対象とする」という特長から考えると、「新たな役割で実際に期待される行動が発揮できるかどうかを予測する」という観点で最適な手法であると言えます。そのため、多くの企業においては、管理職や経営のポジションという新たな役割を担えるかどうかの人選において、複数の候補の中から最も適性の高い人材が誰なのかを特定し、最終的に誰に任せるかを決める際の参考データとして利活用されています。

アセスメントセンターの重要な要素

アセスメントセンターの歴史は古く、1940年代頃から各国の軍隊にて導入されていたものを基礎とし、ビジネスの世界に転用されたと言われています。一方で、昨今では様々な手法が開発される中で、アセスメントセンターであるという条件を満たしていないプログラムが、アセスメントセンターとして提供されていることが増えている懸念から、アセスメントセンターと正式に呼ぶためのガイドラインが定められました。

※出典:アセスメント・センター運営のためのガイドラインと倫理的配慮(Guidelines and Ethical Considerations for Assessment Center Operations)


本コラムにおいて、上記ガイドラインに記載されていることのすべてを紹介することは割愛しますが、以下の基本的特長を有する手法に対してのみ、アセスメントセンターという用語を適用すべきであるという方針が示されています。

  1. 適切な評価指標(コンピテンシー)が設定できている
  2. 行動を観察するための複数のシミュレーションが組み合わされている
  3. 重要な場面が設定されたシミュレーションが開発できている
  4. 参加者の複雑な行動を導き出すことができている
  5. 訓練された評価者によって十分な行動観察が為されている
  6. 一人の被評価者に対して複数の評価者による評価が為されている
  7. 行動の観察や記録、分類や情報統合など、訓練された評価者が担当している
  8. 最終的な評価の判断は適切な手続きに沿って統合化されている

1については、アセスメントセンターの起点を為す要素であり、従来は職務分析によって導き出すものが一般的でした。一方で、昨今の環境を考えると、変化が常態化した中で成果を上げ続けられるかがより強く求められており、これまでにない新たな職務の存在を含めて、必ずしも既知の職務分析によるコンピテンシー設定が適切かどうかは議論の余地があると私たちは考えています。いずれにせよ、何かしらの適性を測るために人材アセスメントを実施する以上は、設定したコンピテンシーが適切かどうかが何よりも重要になるということです。野球選手の適性をサッカー選手の指標で測ることのリスクは、ご想像の通りです。

2~4は、主にシミュレーションに関するものです。キーワードは、「行動を引き出す仕掛け」と「様々な状況設定」です。ある特定のオペレーションを正確に実行できるかという類の適性を測るものではなく、より複雑性の高い状況下でのマネジメント適性やリーダー適性を測るためには、複雑な行動を表出させなければなりません。事前に定められた選択肢の中から選ばせたりするのではなく、被評価者の自由意志で行動を選択させ、表出させる仕掛けづくりが重要となります。さらには、そのような仕掛けが施されたシミュレーションを複数組み合わせることで、豊富な行動の表出を導き出さなければなりません。

5~8は、評価者と評価の手続きに関するものです。キーワードは、「訓練された複数の評価者」と「観察事実を起点にした適切な評定フロー」です。人が人を評価する以上は、必ず人間の解釈が介在します。これはどれだけ訓練を積んだとしても避けられない要素です。だからこそ、教育を施された人間が、複数の眼で、的確な手続きを経て検証することが重要であるということです。特にリーダーシップやマネジメントの世界では、人間の感情など、曖昧さや流動性の高い状況の中での活動になります。そのため、そこで表出された行動は、「状況、担う役割、意図、行動、結果という一連の流れ」で客観的事実を押さえ、複数の眼で検証することが蓋然性の高い解釈として成立させるうえで重要になるということです。逆説的に言えば、素人が一人で印象評価をすることは、アセスメントセンターを標榜する以上、絶対にあってはなりません。

アセスメントセンターが支持される背景

組織における重要な意思決定を行う上で導入されるアセスメントセンターですが、なぜ多くのクライアントから支持されているのでしょうか。評価結果の信頼性は大前提としたときに、様々な要因の中からその特性に鑑みると、「共通の環境の中で実際にとった行動を評価対象とすること」に意義や価値を見出しているものと考えられます。ここから導き出せるキーワードは、「公平性」「客観性」「納得性」です。

公平性

重要な人選に直結する評価において外してはならない一番の要素は「公平性」です。実力や適性があるにも関わらず、別の要因で選外となることが常態化すると、社員の意欲を削ぐことに繋がり、結果として組織は活性化しません。一方で、職場環境も仕事内容も異なる中において、共通の指標で評価することは現実的には困難です。そのため、「いまの役割」で評価するのではなく、「これからの役割」にフォーカスし、誰もが共通の環境設定の中で公平にチャンスがあるという点が、アセスメントセンターが支持される要因と言えます。

客観性

二つ目は「客観性」です。ここで言う客観性とは、以下の4つの意味を含んでいます。

  1. 利害関係のない第三者による客観的立場の人間による評価である
  2. 第三者が観察可能な客観的行動事実に基づいた評価である
  3. あらかじめ設定された客観的指標に基づく評価である
  4. 複数の評価者による客観的視点で検証された蓋然性の高い評価である

重要な人選において「主観が悪」という意味ではありません。最終的には「誰に任せたいか」という主観が重要になる局面もありますが、まずは上記1~4の客観的な評価を前提とし、評価のメジャーを統一させることが「埋もれている人材を発掘する」という面でも重要になってきます。

納得性

最後は「納得性」です。評価される立場からすれば、何を、どのように評価されているのかが曖昧だと、如何に優れた評価手法であったとしても納得できないものです。アセスメントセンターにおいては、設定された共通の環境下において、自分が実際にとった行動が評価対象となるという点において、他のツールや手法に比べて納得性は高いものとなります。言い方を変えれば、「納得せざるを得ない」ということです。一方で、マネジメントやリーダーシップの領域は、環境も行動も複雑さの比重が高く、局所における個別具体の行動をもって採点するということは行いません。前述の【アセスメントセンターの重要な要素】の【シミュレーション】で述べたとおり、意図をもって開発されたシミュレーションによって、多様な自由意思による複数の言動を引き出す仕掛けがセットとなってはじめて、評価への納得性は高まるものと考えます。

リードクリエイトの人材アセスメントの特長

ここまでアセスメントセンターの一般論を軸に、その特長について解説してきましたが、数あるアセスメントセンター提供会社の中での、リードクリエイトの特長を紹介したいと思います。

特長1 - コンピテンシーモデル

まずは何より、コンピテンシーモデルです。協創型リーダーという概念のもと、組織を持続的な発展に導くためのリーダーシップモデルを提唱しています。当然、各社が独自で掲げているコンピテンシーの評価を実施することも可能ですが、変革の時代に求められるリーダー適性の見極めにおいては、私たちのモデルを導入することを推奨しています。

特長2 - シミュレーション

2点目はシミュレーションです。リーダー適性を見極めるためには、リーダーが直面する状況を的確に設定することが重要となります。例えば、インバスケット演習というシミュレーション名をご存じの方も多いと思いますが、各提供会社による名称は同じであっても、その中に設定されているシチュエーションに大きな違いや仕掛けが施されています。具体的には、リーダーが対峙すべき「曖昧である」「変化している」「不足・不慣れである」「困難である」という4つのクリティカルな場面が設定されており、そこに時間的負荷、対人的負荷、課題難易度的負荷が合わさった良質な修羅場体験がシミュレーション化されているため、リーダーに求められる行動が表出されるものとなっています。

特長3 - 評定フロー

3点目は評定フローです。アセスメントセンターの基本原則に則り、観察された全言動記録がベースとなっています。リーダーとして何かしらの行動が求められる場面において、「行動しなかった」という言動も、行動観察の対象となります。このような行動を観察する力、観察できた事実を記録する力、記録した内容を解釈する力など、アセスメントセンターの根幹を為すアセッサーのスキルについては、適性を備えた人材の採用と、約3年に渡る教育プログラムによって強化しています。一方で、いくら教育を施されたアセッサーであったとしても、人間の解釈には一定のバイアスや主観的要素が介在するため、評価においてはチームとしての合議制を導入しています。また、最新の取り組みとしては、AIが第三のアセッサーとして、膨大な観察記録を捕捉できるよう進化しています。

特長4 - コンサルティング

4点目はコンサルティングです。私たちは、「クライアントにとって人材アセスメントの導入は、ゴールではなくスタートである」という基本的価値観を持って臨んでいます。成し遂げたい目標や状態を達成するための手段が人材アセスメントであり、そのために必要な全体フローの設計や実装、運用から他の人事施策への展開まで、総合的に支援します。重要な人選に関わるサービスだからこそ、「評価して終わり」ではなく、「評価結果を如何に活用するか」という視点で伴走します。

特長5 - 運用体制

最後は運用体制です。私たちの人材アセスメントは、課長や部長といった重要な役職者への登用を目的に導入されることからも、オペレーション上のミスは許されません。訓練されたアセッサー陣と運営担当者がチームとなり、受講者が最大限力を発揮できる環境を万全の体制で構築しています。最大で1,000名を超える候補者のプロジェクトの実績もあり、安定感は業界N0.1であると自負しています。

まとめ

  • アセスメントセンターには、基本となる特長がある
  • アセスメントセンターは、管理職や経営ポジションの人選に適した手法である
  • 「公平性」「客観性」「納得性」を担保しやすい手法である
  • 導入にあたっては、その特長を理解し、提供会社の力量と実態を見極める必要がある

この記事の著者

株式会社リードクリエイト 取締役 菅 桂次郎

2003年7月よりリードクリエイトに参画。人材マネジメント全般に関わるコンサルティング営業を経て、2014年よりアセスメントサービス全般の開発から品質マネジメントを中心に、リーダー適性を見極めるアセスメントプログラムの進化を目指して活動を展開中。

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