1. マネジメントの「共通認識」をどうつくるか
こうした課題意識をもとに、人事部門よりご相談をいただいたのが本取り組みの出発点です。リードクリエイトはまず、関係者へのヒアリング情報を基に、三つの観点を軸に提案を進めました。
①健全な自己否定
これまでのマネジメントスタイルを無条件に否定するのではなく、それぞれが適した環境の中で有効に機能してきたという事実を踏まえ、良い点は活かしながら新会社としてのマネジメントの在り方を再構築するという方針を設定。
②会社としての本気度
変革に対する真摯な意思を全社に示すことが肝要であると考え、社長のメッセージ発信を起点に、組織全体で取り組むテーマとして位置づけた。特定階層だけで完結する施策ではなく、経営層から管理職層までを巻き込んだ複合的なアプローチを採ることで、部分最適にとどまらない組織全体での変化を目指した。
③取り組みの継続性
一過性のものにしないために、期首・期中・期末といった節目ごとに組織マネジメントの状況を点検し、改善を重ねる仕組みを設けた。これにより、施策の実効性を継続的に高めていく運用とした。
2. 実行にあたっての調整と工夫
提案は人事部門からおおむねの理解を得ましたが、実行段階ではいくつかの調整が必要となりました。
①多忙な経営層を集めることが難しい
➡新たに場を設けるのではなく既存の経営会議の時間を活用し、施策周知や進捗共有、必要な依頼事項の伝達を行う形に変更。
②研修で策定したアクションプランが形骸化するリスク
➡経営会議の場に管理職層を定期的に招き、取り組み状況を報告する機会を設けることで実行責任を明確に。
③管理職「候補者層」まで施策を広げるべきか
➡現状のリソースを勘案し、まずは管理職層へのアプローチに集中し、その成果を見ながら段階的に展開範囲を拡大していく方針とした。
3. 具体施策と運用設計
管理職層に対しては、以下の一連の施策を実施しました。
まず、「組織マネジメント力強化研修」を開催し、マネジメントの原理原則を整理し、共通の理解基盤を構築しました。
次に、各自が組織目標を設定し、その内容について本人・上司・コンサルタントの三者でチェックを行うプロセスを設けました。これにより、目標の妥当性や具体性を担保します。
その後、3か月に1回のグループコーチングを通じて取り組み状況の共有と課題整理を行い、継続的な実践を支援しました。さらに、6か月後および1年後にはリフレクション研修を実施し、行動の棚卸しと今後の課題を明確化。
一方、経営層に対しては、管理職層向け施策の内容理解を促すとともに、経営会議での報告に対する適切なフィードバックや、自部門の管理職に対する意図的な働きかけを行うことを求めました。
こうした現場での実践と経営の関与を結びつけつつ、経営層自身がどのようなマネジメント行動を取るべきかについても認識を揃えることで、組織全体での一貫性を高めることを意図しました。
本施策における運用設計のポイント
- マネジメントの原理原則を共通基盤として整理する
- 継続的な進捗確認と改善サイクルを構築する
- 経営層の意図的な関与と働きかけを組み込む
4. 成果と今後の課題
取り組みを進めるうちに、旧会社に由来する意識の違いは徐々に薄れ、新会社の一員としての意識が醸成されてきました。現場からは、組織の一体感が高まっているように感じるとの声も聞こえてきました。
また、マネジメントに関する共通認識が浸透したことで、業務遂行プロセスのばらつきは減少し、組織運営の安定性が向上しています。さらに、管理職同士の対話の質にも変化が見られ、互いの考え方や判断基準を共有しながら意思決定を行う場面が増えてきています。
ただし、部門ごとの施策の浸透度に差がある点は課題として残っています。その背後には経営層の関与度合いや本気度の違いが影響していることが明らかになっています。上位層のコミットメントが現場に与える影響の大きさが改めて認識されました。
今後は、現管理職層への継続的なフォローに加え、次世代の管理職候補者に対する育成施策をどのように展開していくかが重要なテーマとなります。段階的に対象を拡大しながら、組織全体で一貫したマネジメントの在り方を定着させていくことが求められています。
本プロジェクトで得られた成果
- 新会社の一員としての意識醸成と一体感の向上
- 共通基盤に基づいた組織運用の安定性
今後に残された課題
- コミットメントの違いによる部門ごとの浸透度の差異
- 次世代の管理職候補者に対するアプローチ
LEADCREATE NEWS LETTER
人事・人材開発部門の皆さまに、リーダー育成や組織開発に関するセミナー開催情報や事例など、実務のお役に立てるような情報を定期的にお届けします



