1. 評価者育成と運用プロセス改善を組み合わせた支援の提案
以上のようにC社は、「制度自体は細かく設計されていたものの、評価者の理解と実践には大きな課題が残っている」「期首、期中、期末の各フェーズで問題が発生している」という状態でした。
こうした状況で、リードクリエイトはC社からのご相談をいただきました。
まずリードクリエイトは各関係者へのヒアリングや実態調査を行い、目標設定と評価の質を組織的に高める仕組みの導入と、それに合わせた評価者向けのトレーニングの導入を提案しました。
具体的には、「全評価者向けの評価者研修」「部門内目標検討会議の導入支援」「部門内評価調整会議の運用支援」の三つを柱とする内容です。
① 全評価者向けの評価者研修
学習内容の定着に向けては、学んだことを即実践することが重要です。そのため、実務のタイミングに合わせて3月と9月の年2回に分けて実施する計画としました。
3月は目標設定と目標設定面談、1on1をテーマとし、9月は評価とフィードバックをテーマとしています。
内容も単なる制度説明や基本的知識の学習は最低限にとどめ、各評価者が実際に作成した目標を持ち寄り、その妥当性を点検し、面談やフィードバックの進め方を実践形式で確認できる内容としました。
② 部門内目標検討会議の導入支援
本会議では、部長の目標から順に確認し、それが課長、メンバーへと適切にカスケードダウンされているかを部門内で確認します。
また、単に上位目標を分解するだけでなく、上司からの期待と部下本人の意思の両方が反映された目標になっているかを議論する場としました。
会議進行は、初回のみ人事部メンバーの参加を必須とし、2回目以降の人事部参加は希望制にしました。以降は議事録の提出によって実施状況を確認することにしました。
③ 部門内評価調整会議の運用支援
本会議も考え方は目標検討会議と同じです。ただ、すでに評価調整会議という場があったため、人事部メンバーの参加は止め、評価者研修の中で、評価調整会議の義務づけと進め方についてインプットすることにとどめるようにしました。
その他、評価者研修や各種会議の導入支援を通じて得られた評価制度に関する運用課題については、別途収集し、制度改善に向けた提言に活かすことにしました。
提案の要点
- 実務に即した学習機会の提供
- 2種の会議体による実行精度の高度化
- 運用課題の収集による継続的な改善
2. 稼働への懸念を踏まえたトライアル導入
提案内容はおおむね好意的に受け止められました。特に実務タイミングに合わせて研修を実施する点については、実践的で効果が期待できるとの評価をいただき、具体的に進めていくことになりました。
一方で、部門内目標検討会議の導入については、人事部門・事業部門双方から稼働増加への懸念が示されました。そのため、まずは人事部と特定の事業部門でトライアルを実施し、効果と負荷の検証を開始することにしました。
対象としたのは、上期の目標設定において人事部から多くの指摘を受けていた部門です。実際に会議を実施したところ、所要時間は約3時間となりましたが、部長と人事部メンバーが参加することで、目標の妥当性やカスケードダウンの適切性を具体的に確認できることが分かりました。
一方で、会議の質は人事部メンバーの経験や発言力に影響を受ける面もあり、一部のメンバーに負担が集中する可能性も見えてきました。
これらを踏まえ、目標検討会議については初回のみ人事部メンバーが参加し、その後は部門主体で実施する方針としました。また、進め方については評価者研修の中で共有することにし、各部門で自走できることを目指しました。
3. 目標設定と評価の「質の向上」という変化
これらの取り組みを通じて、目標設定の質には明確な改善が見られるようになりました。
カスケードダウンが適切に行われるだけでなく、部下の意思を踏まえて上司と部下が目標を検討するプロセスとして機能するようになっています。事後アンケートからも、そのような変化が確認できました。
また、目標設定が適切に行われることにより、評価においても変化が見られました。特に行動評価では、多くの評価者が評価の根拠を明確に整理し、それを部下へのフィードバックに活用するようになりました。
その結果、現在では評価に対する納得度が高まったという声が多くの従業員から聞かれるようになっています。
4. 今後に向けた「定着」という課題
一方で、今後の課題は運用の定着です。特に、部門内目標検討会議は部門主体で運営するため、議論の質をどのように維持するかが重要なテーマとなっています。
制度は導入するだけで自然に機能するものではありません。運用しながら継続的に改善を続けていくことが不可欠です。今後も運用状況を確認しながら、制度の定着と改善に向けた支援を継続していきます。
本プロジェクトで得られた成果
- 目標設定のカスケードダウンと本人の意思を反映した目標設定
- フィードバックの質と評価への納得度が向上
- 制度の意図に沿った評価運用の実践力が組織内に形成
今後に残された課題
- 目標検討会議・評価調整会議を部門主体で継続し、実効性を保ちながら定着させること
- 人事部が直接関与しなくても、会議の質や議論内容を担保・把握する仕組みの構築
- 研修や運用を通じて明らかになった課題を踏まえた、評価制度そのものの継続的な改善
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