管理職の人選

組織発展の核となる人材を
見極める仕組みづくり

管理職の人選に関する悩みや課題

企業価値の向上を目的とした人的資本経営への取り組みが加速する中で、「管理職の人選」は戦略的な重要性を増しています。管理職の考え方や行動次第で、組織の短期的成果だけでなく、長期的な発展性にも影響します。そのため、「空いたポストを埋める」といった配置の発想や、「功労による昇格」といった基準は、もはや通用しません。

一方、多くの企業に共通して見られる悩みや課題もあります。背景としては、失われた30年による人員構造の歪み、仕事に対する価値観の変化、安定事業の中で変革人材が不足していることなどが挙げられます。もちろんこうした要素も影響していますが、本質的な問題は、各社における管理職の定義そのもの、あるいはその再定義が十分に行われていないことにあると私たちは考えています。

よくある
悩みや課題

  • 管理職になりたがらない優秀な若手・中堅が増えている
  • 優秀な人材を管理職に登用しても、期待通りの成果が出なかったり、問題が発生したりする
  • 管理職を任せられる人材が見つからず、ベテラン頼みや外部起用に頼らざるを得ない
  • 既存事業の運営は得意でも、新しい挑戦や変革をリードできる人材がいない

管理職人選の要諦

多くの企業で管理職の昇進・昇格審査を支援してきて感じるのは、「どう人選するか」「どんな手段で人選するか」に偏りがちな人事担当者が多いことです。面接やレポート、各種アセスメントツールなど、実績のある手法や導入ありきで審査内容を構築しようとするケースがよく見られます。

しかし、本来最も重要なのは、「自社は管理職に何を求めるのか」「昇格にあたって何を見極めるべきか」を明確にすることです。この要件に基づき、適切な手段を選び、組み合わせていくことこそが、管理職の昇進・昇格審査、人選の要諦です。

リードクリエイトでは、この要件の中でも特に、管理職に求められる汎用的な能力(コア能力と呼称)の見極めが重要だと考えています。変化の激しい時代においては、業務の専門性は移ろいやすく、部署や職種を超えると活用できません。また、経営知識などは昇格後の学習で補えますが、コア能力は研鑽が必要です。そのため、審査段階で「準備ができているか」を見極めておかないと、昇格後に本人も組織メンバーも苦労することになります。

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アセスメント手法の選定

昇進・昇格審査においては、まず「何を見極めたいのか」を明確にした上で、その要件に適した手段やアセスメント手法を選定します。
世の中には様々なタイプのアセスメント手法がありますが、本質的な優劣があるわけではありません。手法ごとに、より精緻に評価できる領域が異なるだけです。そのため、見極めたい要件に適したアセスメント手法のタイプを理解した上で、具体的なやり方やサービスを選択することが重要です。

手法 概要
自己回答型
アセスメント
設問回答・選択式 紙面・Webで被験者本人が回答。短期間で大人数に対応可。性格特性、IQ、EQ、行動スタイルなど多くのツールが安価で存在。
自由記述・論述式 設問次第で特定領域に対する知識量や知識の深さを測ることが可能。普段考えていることや思いを表出させることにも向いている。
インタビュー
アセスメント
一般面接 一人あたり30〜60分で実施。考えや意見を聴取するための一般的な面接。人柄を含む総合的な人物像の評価には適している。
構造化面接
(コンピテンシーインタビュー)
過去の実績や成果、およびプロセスを多層的にインタビューし、行動様式や専門性を引き出す面接。評価項目を絞れば有効な情報が入手可能。
実地観察・調査
アセスメント
人事考課 一次評価者である上長が半期・通期の職場行動や成果から評価を行うため、実務や実態との連動性は高い。
多面診断
(360度診断)
日常をよく知る関係者が行う評価であり、納得性と実態把握には最適。本人と他者の認識のズレを把握することで学習効果も高い。
シミュレーション
アセスメント
アセスメントセンター 研修形式で行う疑似体験型プログラム。潜在能力を引き出すには最適な手法。将来の役割を担えるかどうかの判断に活用できる。
ロールプレイ・
ケーススタディ
特定職種や業務を模したツールを開発して実施。専門性やテクニカルスキルを測定するには最適。できるかどうかの判別に活用できる。
手法 性格・気質
・知識
コア能力 専門性 職務
経験
姿勢・態度 思考能力 対人能力 知識 技能
自己回答型
アセスメント
設問回答・選択式      
自由記述・論述式        
インタビュー
アセスメント
一般面接    
構造化面接
(コンピテンシーインタビュー)
     
実地観察・調査
アセスメント
人事考課  
多面診断
(360度診断)
     
シミュレーション
アセスメント
アセスメントセンター      
ロールプレイ・
ケーススタディ
     

審査プロセスの設計(アセスメント手法の組み合わせ)

管理職の昇格審査において、見極めたい人材要件が、業務知識のみ、あるいはコア能力のみといったように、1種類に限られるケースは極めて稀です。多くの場合、2~4種類の人材要件を見極めることが一般的であり、複数のアセスメント手法を組み合わせて審査プロセスを設計する必要があります。

このプロセスの設計は、現実的にはリソースの制約を大きく受けます。しかし同時に、それは「会社がどのような人材を管理職に昇格・登用したいのか」を如実に示すものでもあります。さらに、この設計は審査に対する納得度や、対象者のその後の成長にも大きな影響を与えます。その重要性を十分に認識しておく必要があります。

パターン 1

総合得点ウェイト型

多面性や相互補完性が担保されるため、納得感は得やすい設計です。一方で、「総合得点が何を表しているのか」が分かりづらい側面もあります。また、全ての対象者に全ての審査を受けてもらう必要があるため、人事部門の稼働は大きくなりがちです。ただし、「総合的な診断・審査」が可能であることから、任用可否の判断にとどまらず、育成課題の抽出にもつなげられます。
  人事考課 面接 論文 アセスメント 総合評価
ウエイト 40% 20% 10% 30% 100%
結果 A B 70点 80点 -
得点 40点 15点 7点 20点 82点

パターン 2

スクリーニング型

審査の過程で対象者が段階的に絞り込まれていくため、人事部門の稼働やコストは最小限に抑えられます。一方で、初期審査のみで対象者をふるいにかける場合、「隠れたポテンシャル」や「見えづらい可能性」を発掘できないリスクがあります。そのため、「ノミネート基準」と「選抜基準」を明確に切り分けて運用することが重要です。これにより、登用ミスは最小限に抑えられます。
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パターン 3

基準AND条件型

各選考基準に指標を設け、全ての条件を満たすことが求められるため、対象者の総合力が問われます。一方で、複数の基準を同時に満たすことを前提とするため、「会社として何を最も重視しているのか」が社員にとって分かりづらくなりやすい側面もあります。また、必要条件となる基準が過度に厳格にならないよう、レベル感の調整には十分な注意が必要です。基準が厳しすぎる昇格審査は、組織の士気低下(シラケ)を招く可能性があります。
  人事考課 面接 論文 アセスメント
評価指標 直近3年間
B評価以上
10段階で
7点以上
10段階で
7点以上
総合点80点以上
⚫︎⚫︎力は3点以上

パターン 4

9blocks型

審査結果を直接反映させるのではなく、「パフォーマンス」と「ポテンシャル」の2軸で人材をシンプルにプロットし、関係者間の議論を通じて昇格者を決定します。議論中心の運用となることから、主観の先行や部門間のばらつきには注意が必要です。そのため、「パフォーマンス」と「ポテンシャル」の定義を明確にし、測定方法の指針を定めておくことが最も重要になります。
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審査結果(=重要な人材データ)の活用

管理職層の昇進・昇格判断に必要なデータの収集には、ヒト・カネの両面で相応の投資が伴います。にもかかわらず、その活用を「昇進・昇格判断のみに限定する」のは得策とは言えません。特に大企業ほどこの傾向が見られます。その背景には、人事に関連する部門の分立によるセクショナリズム、重要ポストや上位役職者の人事異動・配置が、限られた関係者の間で、閉じて検討される慣行などがあると考えられます。

人的資本経営の在り方が問われる今、審査の詳細を全て公開する必要はありません。しかし、多くのリソースを投じて得た貴重な人材データは、人選・育成・採用・キャリア開発・組織設計など、様々な場面で横断的に活用してこそ価値が最大化されます。こうした活用を設計・推進することもまた、人事の重要な役割の一つだと言えるでしょう。

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管理職の人選に関するFAQ

Q.
プレイヤーとして優秀な人材をそのまま管理職に登用してもよいですか?
A.

登用は可能です。ただし、プレイヤーとしての成果と管理職としての適性は別軸で捉える必要があります。そのため、自社における管理職要件を明確にし、客観的に水準を見極めることが重要です。

Q.
優秀な管理職を事前に見極めることはできますか?
A.

完全に見極めることはできません。しかし、自社における優秀な管理職の要件と水準を明確に定義していれば、それを満たす人材が成果を上げる可能性は高いと考えられます。成果には環境要因も影響しますが、要件を満たさない場合と比較すれば、その可能性は相対的に高まります。

Q.
管理職の昇格審査に外部アセスメントは必要ですか?
A.

必ずしも必要ではありません。何を見極めたいのかによって判断が異なります。管理職に求める要件が、これまでの成果や行動事実であれば、社内評価で十分な場合もあります。また、社内知識を確認するのであれば、社内でテストを作成しても良いかもしれません。一方で、コア能力は、外部アセスメントの活用が有効です。

Q.
昇格審査の結果を人事部から人材開発部に共有してもらうにはどうすればよいですか?
A.

昇格審査の結果が十分に活用されていないケースは少なくありません。まずは、どのデータが育成に活用できるのか、また活用することでどのような効果が見込めるのかを具体化することが重要です。その上で、育成施策との接続イメージを示しながら、人事部と目的を共有することが有効です。加えて、次世代リーダー育成などの横断プロジェクトとして人材開発部側から人事部に提案することで、部門間の連携が進む可能性もあります。

Q.
管理職の昇格審査設計にはどのくらい時間や費用がかかりますか?
A.

管理職の人材像や要件の策定から着手する場合は、3~6か月が目安です。すでに人材像や要件が明確になっており、それを基に審査プロセスの設計や手法の選定を行う場合は、2~3か月で実施可能です。料金については、支援内容や設計範囲によって異なりますので、詳細はお問い合わせください。